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自作キーボードの Lube をやってみた話

2020-12-14

keyswitches

この記事は VOYAGE GROUP Techlog Advent Calendar 2020 14日目の記事です。

自作キーボードの Lube(潤滑)に挑戦した話です。

Lube って何?

自作キーボードにおける Lube とは、キーボードの部品であるキースイッチやスタビライザーに潤滑剤をつけることで、打鍵感や打鍵音を調整することを指します。

キーボードに使用されるキースイッチには様々な種類があります。
その種類により、押下していくにしたがって徐々に反発力が強くなるリニアタイプや途中でカチッといった反応を示すタクタイルタイプなどに分類されます。
また、スイッチ自体が静音となっているタイプなど、キースイッチだけでも様々な種類が存在しそれぞれが特徴を持っています。

僕は普段 Helix と呼ばれる自作キーボードを愛用しています。
キースイッチには Gateron 茶軸 (タクタイルタイプです) を利用しているのですが、会社で使うことを考えるともう少し静音なスイッチの方が良いなーとなんとなく考えていました。
そこで、今回 Lube を行いスイッチの静音化をしました。

必要な道具集め

Lube を行うに当たって、様々な道具を集める必要があります。
必須のものから作業を効率的に行うためのものまで、いろいろ揃えました。
各リンクは購入先になっています。

あとは、精密ドライバーやピンセットなど、キーボード組み立てに必要なものが一通り必要です。

Lube 作業

キーボードの分解作業

まずは、はんだ付けで実装してあるキースイッチをはんだシュッ太郎で取り外していきます。 

remove switch

ホットスワップと呼ばれる、はんだ付け不要でキースイッチを取り替え可能なキーボードもあり、そちらであればはんだシュッ太郎は必要ありません。
Helix はホットスワップでないため、はんだを溶かして取り除く必要があります。
はんだシュッ太郎ははんだごてとはんだ吸い取り機が一体になったもので、従来のはんだ吸い取り機またははんだ吸い取り線を利用した方法より遥かに簡単にはんだを取り除くことができました。
注意点としては、温度調整機能はないので長く使っているとはんだごての温度が高くなり、基盤にダメージを与えやすくなるなと感じました。
なるべく時間をかけないように作業をしていくと良いと思います。

removed switch

キースイッチを取り除いた後のキーボード基盤です。

キースイッチの Lube

次にキースイッチの Lube を行っていきます。
まずは、スイッチオープナーでキースイッチを分解していきます。

keyswitch opener

スイッチオープナー(画像一番左)は、キースイッチを分解するための道具です。
キースイッチを載せてグッと押し込むことで、簡単に分解することができます。
最悪なくてもピンセット等で分解はできるのですが、作業が必要なキースイッチの数的にもかなり労力が必要となるので買った方が良いと思います。
スイッチオープナーを使うと、キースイッチは上の画像のような部品に分解されます。
Lube 作業ではそれぞれの部品に対して潤滑剤を塗っていきます。

まずはバネですが、液体状の潤滑剤である Krytox GPL 105 とバネをビニール袋などに入れて振ります。
そうすることでバネ全体に潤滑剤を塗ることができます。

次に、ステムと呼ばれる部品(色がついているやつ)やトップ・ボトムハウジングと呼ばれる部品に潤滑していきます。 ここで登場するのが ルブステーションとマイクロアプリケーターです。

ルブステーションは Lube を行う際の作業台で、作業を行いながら順次スイッチを組み立てていくことができます。
今回購入したルブステーションは一度に28個のスイッチを作業でき、バネやステムを置いておく部分もあるものにしました。
切断されたアクリル板の状態で届き、自分で組み立てて使用しました。

lube station

マイクロアプリケーターはまつげ美容液などを塗るのに利用できるものらしいです。
YouTube の動画などを見ると筆で塗っているものが多いですが、細かい部分に塗る必要がありこちらの方が使いやすそうだなと思いました。

分解したキースイッチに対して、下の部品から潤滑していきます。
Lube の仕方や塗る場所に関しては、 キースイッチベストプラクティス の記事が非常に詳しく解説しています。

どのスイッチ × 潤滑剤の組み合わせが好みか?

Lube の流れを一通り確認できたタイミングで、今回 Helix につけるキースイッチを決めるためにいろいろパターンを試してみました。 試したのは以下のパターンです。

  • Gateron 茶軸 × Tribosys 3203
  • Gateron 赤軸 × Tribosys 3204
  • Kailh Pro Switch pro purple × Tribosys 3203

この中で、潤滑の手間と打鍵感を考えて Gateron 茶軸 × Tribosys 3203 の組み合わせでいくことに決めました。
使い慣れているタクタイル感のあるスイッチが好みだったのと、期待して買った Kailh Pro のスイッチが思ったより好みの打鍵感にならなかったため、こちらにしました。
また、スイッチオープナーとの相性が悪かったようでスイッチの爪が片方しか外れず、手作業が多くて大変そうだなというのもありました。
スイッチによって分解のしやすさに差があるようなのでオープナーを購入する際は注意が必要そうです。

ひたすら Lube…

あとはひたすら分解、Lube 、組み立てを行っていきます。
今回買わなかったものとして、ジェムホルダーと呼ばれるボールペンみたいな感じでステムを固定し、Lubeしやすくするものがあります。
ない場合はステムを手で掴んで塗っていくことになるのですが、潤滑剤でどんどん手が滑ってくるのであった方が楽だったなーと思いました。
あと、ルブステーションにバネとステムを置く穴がついているものを買いましたが、これは必要なさそうでした。
下から順に Lube しつつ組み立てていくのでボトムハウジングの台さえあればスムーズに組み立てることができるし、その方が一度の作業量としても多くなりそうです。

lube

Lube しつつキースイッチを組み立てる様子。

lube build

キーボードを再度組み立てる

最後に、Lube したキースイッチをはんだ付け、キーボードの組み立てをして完了です。
(右側OLEDや光らなくなったLEDをついでに直そうとしましたが、部品交換しても治らず断念しました…)

rebuild keyboard

感想

今回は、自作キーボードの Lube について書きました。
愛用しているキーボードの打鍵感が滑らかになってとても満足する結果となりました。
必要な道具や、買った道具でよかったものや微妙だったもの等、興味のある方の参考になれば嬉しいです。

Lube 作業大変と聞いていたけど、はんだ付け同様もくもくと作業ができて楽しかったので、いろいろなキースイッチで試してみたいなと思います。
とはいえ毎度シュッ太郎するのはやっぱり大変なので、ホットスワップのキーボードが欲しい…

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